【自転車】手組みホイールの基礎(ラジアル編)

 

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手組みしたホイール

「欲しい仕様のホイールは、自分で作ってしまえ。」

 

手組みホイールの中でも最も基本的な組み方である"リムブレーキのラジアル組"の組み立て過程を記事化しました。

 

この記事をきっかけにして、"自分で管理することができる自由"を手に入れて頂けたら幸いです。

 

序論

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大破したCampangnolo BORA ULTRA

ちょうど一年前、私はキューバでフロントホイールを大破させました。
このホイールは"Campangnolo BORA ULTRA(チューブラー用)"で、完組ホイールとしてはハイティアモデルです。

大破したホイールはキューバで処分。
帰国してからは(家に転がっていた)PRIMEのRP-38(クリンチャー用)を使っていたのですが、そもそも私は(タイヤ幅を管理することができないが故に)クリンチャータイヤがあまり好きではなく、やはりチューブラータイヤが使えるホイールが欲しくなったのです。


当初は完組ホイールを(フロントだけ)買ってそれを運用することを考え、ネット上のカタログや実物を見ていたのですが、「(仕様的に)これだ!」というホイールが無く、そのまま何も買わずに終了。「結局、どうしよう?」と思った時に出た答えがコレでした。

 

欲しい仕様のホイールは、自分で作ってしまえ。

 

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手組みしてきたホイールの一部

ホイールを組み立てるための工具を買い揃えて、手組み方法を独学で学び、その世界へ足を踏み入れて、手組みの経験値を貯めていきました。

 

凡庸なアルミリムとハブでホイールを組み上げたり。
テンションをあれこれ変えてみたり。
再びバラして再度組み直してみたり。
完組ホイールをバラしてハブを交換してみたり。
ディスクブレーキ仕様のホイールを組んだり。


並行して、ホイールの(有益な)記事を隅から隅まで何度も読み返したり、ネットで公開されている論文を読み込んだりして、知識も武装していきました。

 

経験値と知識量が貯まり、それらの材料にして考察する癖がついた今、主たる目的であった「チューブラー用のフロントホイール」の組み立てに着手しました。

 

手組みのための工具

ホイールを組み立てる際に必要となる工具の紹介です。

 

振れ取り台

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PWT 振れ取り台

ホイールの縦振れおよび横振れを取ったり、各種バランスを取るための機材。
自転車工具でもっとも有名なブランド"ParkTool"の振れ取り台(TS-2.2)の”ソックリさん”で、お値段はTS-2.2の約1/3と、この手の工具にしては安い方です。

 

この振れ取り台は、各所の精度に難点があります。
例えば、振れ取り台を動かすと全体がガタついて、ホイールの振れ状態を確認する"キャリパー部(カニのハサミみたいな所)"がズレます。そういう不具合があることを認識しつつ、自分の中で補正をかけておくことで、(趣味程度の手組みであれば)振れ取り台としての役目を果たしてくれます。

 

スポークテンションメーター

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PWT テンションメーター STM01

スポークテンションを確認する機材。
この手の製品はいくつものブランドから発売されておりますが、どれも"ParkTool TM-1"の”ソックリさん”です。PWTは型番までパクっております。すごい根性です。


ザックリとテンション値を見たいのであれば、このSTM01でも対応可能です。
例えば、"スポークは2mmのプレーンしか使わない"というのであれば、STM01でも良いんでしょうし、(DT SwissやSAPIMといった)有名どころのエアロスポークでも、換算表を使えば、テンション値を知ることはできます。

 

ただ、"いろんな種類のエアロスポークを使ってみたい"とか、"新しいスポーク製品の幅がテンションメーターの換算表になかった"となると、もはや使い物になりません。完組ホイール(メーカー製ホイール)には、特殊寸法のスポークを採用しているものもあるため、注意が必要です。

テンションメーターについては(お金がなくても)TM-1を買っておいたほうが無難です。
なぜなら、TM-1は"WHEEL TENSION APP"で任意のスポーク幅に応じてテンション値を算出できるからです。PWT(STM01)は換算表に記載されたスポーク幅(決め打ちされたスポーク幅)しか算出できず、応用が利かないからです。

 

細かいことを言い出すとキリがなくなるため、不満はこの辺で。

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ParkTool TM-1

そして後日、TM-1を購入しました。

 

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STM01とTM-1

並べてみてよく分かる通り、TM-1の方が一回り大きく、そのおかげでメーターの1メモリ間にも余裕があります。触った感じの質感も良いです。

 

高価でしたが、買ってよかったです。
意味もなくスポークテンションを測りたくなってしまう楽しさが、この製品にはあります。

 

センターゲージ

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PWT センターゲージ WAG1930

ホイールの左右バランスを確認するための工具。
縦振れと横振れをザックリ取り払った後、このセンターゲージを使って、ホイールがハブに対して真ん中に位置しているかどうかを確認します(センター出し)。

 

PWTはこちらの製品についても型番を一部パクっております。
必死にParkToolを真似て、そして越えようとしている根性は褒めたいところですが、これも不満がありまして、このゲージはクイックリリースのエンドキャップには対応していますが、(ディスクブレーキで主流となりつつある)スルーアクスルのエンドキャップには対応しておりません。
スルーアクスル用にも使えなくはないですが、エンドキャップに固定できないため、少しだけコツが必要となります。


値段を考えれば、(ParkToolではなく)PWTで必要十分です。
また、GORIXにもセンターゲージがラインナップされております。型番と見た目から察するに、PWTのそれと全く同じと思われます。

 

スポークプレップ

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WheelSmith Spoke Prep (スポークプレップ)

ニップル組付け用の潤滑&ネジロック剤。
潤滑剤とネジロック剤の両方として機能する塗料で、締めるときは潤滑剤として、締まった後はネジロック剤として機能します。

 

青色と橙色があるのは、左右のスポークを区別するためです。
今回は左右ともに同じスポーク長ですが、例えばディスクホイールやリアホイールのスポーク長は左右で異なります。そういう場合に異なる色のスポークプレップを使用することで、ポカミスを防止することに繋がります。

 

左右のスポーク長が同じであれば1色で十分ですし、スポークの管理が出来れば、2色も入りません。なお、"スポークプレップ"はWheelSmithの商標のようです。

 

スポークホルダー

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スポークホルダー(スポークブレード)など

エアロスポークを保持するための機材。
エアロ形状(きしめん状)のスポークは、その平らな面を進行方向に対して平行にしなければなりません(そうしないとエアロの意味が全く無くなります)。後述するスポークレンチでニップルを回すと、スポークは往々にして回ってしまいますし、最悪の場合はエアロスポークが捻じれます。

 

スポークの寸法はメーカーによって様々なので、その都度、ホルダーを使い分けていきます。

 

DTS エアロ スポーク ホルダー 0.8-1.0mm TOL39400

エアロ部の幅が"0.8-1.0mm"に対応したスポークホルダー。
使う機会が少ないのであれば、安い中国製品でも良いかなと思いますが、それは接着部などの作りがザックリしています。その点、DT Swissの方が作りは良く、耐久性もありそうです。

1.0mm-1.3mmスポーク修理用ホイールスポークホルダーツール

エアロ部の幅が"1.0-1.3mm"に対応したスポークホルダー。
DT Swissの品はTOL39401です。すでに書きましたが、耐久性を求めるのであれば、DT Swissを入手することをオススメします。

 

SUPER B(スーパービー) エアロスポークキー 5502

エアロ部の幅が"0.9/1.1/1.3/1.8mm"とピンポイントに対応したスポークホルダー。
「使い勝手が良いかもしれない!」と思って思わず買いましたが、思いとは裏腹に使いにくかったです。 

見ての通り、この製品はエアロ部分を保持する長さが短いです。そこが短いと(テンションを強く張る際に)スポークが捻れやすくもなります。

すでに紹介したスポークホルダーの方がエアロ部を長く保持でき、その方がエアロ部にかかる負担が分散されて、スポーク自体に優しいのです。

 

スポークレンチ

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スポークレンチセット

スポークレンチニップルを回すための機材。
ニップルの大きさによって、使用するスポークレンチを変えて対応します。多くの場合、"3.2mm(黒、DTやWheel Smith品)"で間に合うんですが、得体の知れないニップルを購入すると、"3.5mm(赤、JIS #14/15用)だった"という場合もあります。なお、"3.3mm(緑)"は使ったことがありません。

 

この手のレンチは有名/無名メーカーから類似品が発売されておりますが、精度はどれも"ザックリ"です。
ニップルを保持するところが"3面"ですし、それだとニップルを舐めやすいです。また、アルミニップルだと、(スポークテンションを上限値まで追い込むと)より一層ニップルを舐めやすくなります。

 

個人的には"4面"保持することができる"SW-20(3.2mm)/22(3.4mm)"というParkToolのスポークレンチが良いと思っていますが、残念ながらディスコンで入手困難です。なお、"SW-20.2/22.2"は"3面"となりました(コストダウン品)。

 

ふと思ったんですが、ニップルを回すためのレンチなのに、"ニップルレンチ"とは言わないんですね。不思議に思いました。

 

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DT Swissのニップル回し

後日、新たなニップル回しを購入。
「もっと回しやすいレンチが欲しい」となり、SW-20を(ディスコンで割高だけど)入手しよう思っていた矢先、こちらの工具にたどり着きました、

 

このレンチ(TOL39300)は、(DT SwissやWheel Smithで一般的である)3.2mmのニップルに対応で、ニップルを4面(実質的には3.5面)で保持することができるため、ニップルを締める際に回しやすく、そして舐めにくくなっております。

 

なお、DT Swissのレンチは"ニップルレンチ"というようです。

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使用感を確認中

使ってみたところ、一瞬でお気に入り工具となりました。
回している時の安定感が、先ほどのスポークレンチよりを凌駕しております。お値段は3倍ですが、確実にこちらを導入した方が良い仕事が出来ます。

 

クランピングスクリュードライバー

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クランピングスクリュードライバー

外部ニップル用のドライバー。
ニップルの頭側には割れ目が入っており、そこに引っ掛けてニップルを回せるドライバーです。

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クランピングスクリュードライバーニップルを挿した様子

作業序盤でこの工具は大活躍します。
この状態でリムの中へ挿入し、スポークにネジ回すのです(あとでその写真が出てきます)。SAPIM、DT Swiss等のブランド品は値段が高いため、私は数百円(壊れても後悔のない値段)で売っていたものを使っています。耐久性は低そうですが、数百円なので、壊れたらまた買えば良いです。

 

ホイールのパーツ

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手組みするホイールに採用されたパーツたち

ホイールパーツの紹介です。

リム

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カーボンリム

今回入手したカーボンリム。
いくつかのサンプルを見つつ、"私が望む仕様"のリムを持っているか、もしくは新たに作ってくれるところを探して、所望のリムを入手しました。柄は(ここ最近のマイブームである)マーブル模様。

 

リムハイトは50mm。
ハイトに深い意味はないんですが、あえて挙げるなら下記の3点。
・採用したハブが20H(スポーク:20本)。
・私は体重がある(約82kg)。
・(TTバイクで使うことが前提であり)前輪に荷重がかかる。

要は"リムで剛性を稼ぎたい"思惑が働いております。

"スポーク18本、リムハイト50mm"と”スポーク20本、リムハイト38mm”の使用実績は有りましたので、「条件的には”使える(壊れない)”だろうし、それらよりも数値上は多く(長く)なるため、耐久性は上がる方向」なので、その点では心配はありませんでした。

 

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ブレーキ面にスリット

リムブレーキ仕様ですので、ブレーキ面があります。
ブレーキ面にスリットを入れることで、ブレーキ効果が高まるんだそうです。この手の加工はCampangnoloのAC3が有名です。きっとパクったんでしょうが、形を微妙に変えているところが何かを感じさせてくれます。

 

ニップルは、リムから見える外部ニップル仕様としました。
なので、ニップル用の穴は大きめです。外部ニップル仕様にした理由は、メンテナンス性を優先したためです。(ニップルがリム内に隠れている)内部ニップル仕様にすると、ニップル用の穴は(スポークが通れば良いので)小さめとなります。

 

重量も測ったところ、この手のリム仕様にしてはやけに軽かったです。
軽いということは薄く作っていると思われますので、耐久性はあまり期待できないかも知れません。真夏にブレーキを掛け続けると(放熱の甘さゆえに)「パーン!」といってカーボンが割れるかもしれません(←そう思うだけ)。

 

ハブ

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DT Swiss 180

DT Swiss 180を採用。
DT Swissの最上位ハブでありストレートプルタイプ。最近モデルチェンジしまして、これはそのモデルチェンジした製品となります。

 

ハブ内のベアリングはセラミックですが、(私としては残念ではありますが)シールドベアリングは前モデルから踏襲です。(私は"カップアンドコーン"仕様が好きです。)
 

スポーク本数は20本。
「20本ってのもあまり(良くないかも)な。」と思いつつも、デザインが良かったのと、「組み立てるホイールはTTバイクくらいにしか使わないし、ダンシングする機会も殆どなく、シッティングで漕ぐ時間が圧倒的に長いから。」と理由を付けておきました。要は"レーシング機材としてしか考えない"(間違ってもロングライドには使わない)ことにしています。

 

余談ですが、世の中には変わった人がいて、"DT Swiss 350"で"スポーク10本"というホイールを使っている人を見たことがありました。「なんであんなのがレースで使えるんだろう?」と凄く不思議に思いました。

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89g

重量は約89g。
Novatec (AS61DB_ストレートプル品)の72gと比べれば少々重いですが、他のメーカーの上位に位置するハブの重量は、DURA ACE (HB-9000_J-Bend品)が約120g、Campagnolo (Record_J-Bend品)が約116gなので、それと比べたら軽い方です。

なお、このハブのベアリングには既にグリスが塗布されておりました。
「DT SwissのMulti purpose Greaseかな?」と思いましたが、とりあえずは拭き取らず、そのままにして今回は組み立てました。将来的に塗り直さないといけなくなったら、(たくさんのグリスを在庫したくないので)シマノプレミアムグリスを塗っておきます。

 

スポーク

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SAPIM CX-RAY

SAPIM CX-RAYを採用。
エアロスポーク界では有名なスポークで、お値段は約500円/本と、プレーンと比べると倍額。Pillarのエアロスポークと比べても1.5-2倍と高価です。
他メーカーのエアロスポークよりも軽くて頑丈なのがウリのようですが、いまだにそれを実感したことがありません。

 

今回、お値段の高いスポークを採用した理由は、"手っ取り早く入手できそうなスポークがこれだったから"です。
スポークというのは1mm単位で長さを決定しなければならず、必ずしもその長さが在庫されているわけではないのです。

 

長さは262mm。
スポーク長は"ハブの各寸法"と"リムの寸法 (ERD)"から計算によって算出します。 

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20本で86g

重量は約86g(/20本)。
他のメーカーの262mm前後のスポークを持っていないため、「他と比べて重いのか軽いのか分からない」です。どちらかというと「軽いんじゃないか」と思います(←そう信じたい)

 

ニップル

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アルミニップル(外部ニップル

アルミニップルを採用。
ニップルはアルミ製と真鍮製があります。アルミ製は真鍮製に比べて軽いんですが、スポークレンチでニップルを回した際、ニップルを舐めやすいです。

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20個で8g

重量は約8g(/20個)。
仮にアルミではなく真鍮を選定したとすると、重量は約20gになります。アルミ製ニップルがいかに軽いのかが分かります(ただしスポークレンチで舐めやすい)。

 

ニップルワッシャー

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ニップルワッシャー

ニップルワッシャー。
ニップルとリムの間に入れるワッシャーです。ニップルがリムに対して均等に圧を掛かるようにするためです。カーボンリムには必須ですし、アルミリムでも入れておくことを強くオススメします。

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20個で3g

重量は約3g(/20個)。
このワッシャー、実は結構良い値段します。単価でいうと、アルミニップルよりも値段が高かったです。

 

ホイールの機材は以上。

 

スポーク長の計算(ラジアル)

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簡単な計算方法

スポーク長の計算は手組みにおいて最重要作業となります。計算方法を失敗すると、ホイールを組むことが出来ないからです。

ラジアル組みの計算方法がものすごく簡単。
(1)ホイールのEDR(ホイール内径にニップル端を足した寸法)を1/2 する(赤線)。
(2)ハブスポーク穴(PCD)を1/2し(紫線)、EDR/2(赤線)からその値を引く(橙線)。
(3)ハブの中心とハブスポーク穴の寸法を採寸し(青線)、ピタゴラスの定理でスポーク長を算出する(緑線=スポーク長)

 

これで(ラジアル組の)スポーク長の算出が可能です。
これがタンジェント組み(イタリアン、JIS組み等)や、ディスクブレーキ用ホイールになると、計算方法がとても難しくなります(三角関数等の知識が必要)。

 

ラクをしたい人は、ネット上に公開されている"スポーク長計算サイト"を利用すれば良いです。ただし、公開されているのは"Jベンドタイプ"なので、ストレートプルになるとお手上げかもしれません。

("どういう考え方でスポーク長が算出されているのか?"といった)中身を理解していれば、それを応用することで、手計算(スプレッドシート)で算出することが出来るようになります。

 

ホイールの組み立ての流れ

組み立て工具とホイールの機材が揃ったら、組み立て開始です。
組み立ての流れは、下記の通り。

(1)ホイールの仮組み

(2)ホイールの縦振れ・横振れ取り

(3)ホイールの左右バランスの調整

(4)スポークテンションの調整

(5)ホイール(withタイヤ)の重量バランスの調整

 

ホイールの仮組み

スポーク準備

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スポークプレップを塗布

スポークのネジ部にスポークプレップを塗布します。その流れは下記の通り。

 

(1)スポークのネジ部を掃除

(2)スポークプレップのケースをよく降って撹拌する。

(3)スポークプレップをポークのネジ部に塗る。

(4)乾燥させる。


スポークプレップには取扱説明書が添付されておりますので(英語)、それを見ながら対応すればよろしいかと思います。

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スポークプレップを乾かし中

スポークプレップの塗布量ですが、"ネジ山の形が確認できる程度"の薄い塗布で十分です。塗り過ぎないように注意して下さい。

塗布した後はそれを乾燥。
取扱説明書には"完全に乾燥させてください"の文言がありましたので、それまで待ちます。約30分間で大丈夫です(乾きます)。

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リムとハブの向き合わせ

リムとハブの向き合わせ。
このリムはブレーキ面に入れたスリットの都合で、ホイールの進行方向が決まっています。それにハブの向きを合わせて組み立てます。

自分がロードバイクに乗った時に、ハブの文字が読めるようにしました。
見た目の問題ですので、そんなことを気にしないのであれば前後どちらでも、適当で構いません。 

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ハブにスポークを通した様子

このハブ軸には(ご丁寧に)ニップルを通すための穴がありました。こことフランジ部の穴を揃えて、スポークを通していきます。

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スポークにニップルの仮取り付け

リム側の穴にスポークを通して、ニップルを仮取り付け。
クランピングスクリュードライバーでは(保持力が弱くて)、十分にネジを回し込めないため、まずは"ニップルがスポークから外れない程度"で取り付けました。

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片方のスポークを仮取り付け

片面のスポーク10本を仮取り付けが完了。
ニップルニップルワッシャーがリムの内側に落下すると、そこから取り出すのはとても大変ですので(ひたするリムを振って、穴から落っこちてくるのを期待するしかない)、スポークにニップルを取り付ける際は慎重に。

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エンドキャップの取り付け

穴を通した側のエンドキャップを取り付けておきました。
シールドベアリングにグリスが塗ってあるため、ゴミの侵入を最小限に留めておきたかったからです。

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スポークの仮取り付け完了

もう片面のスポーク10本も仮取り付けました。
パッと見は出来上がっておりますが、全然まだまだです。ニップルのネジは適当に取り付けているだけですし、この状態ではホイールはまだグニャグニャです。

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仮取り付けのネジ位置の調整

ニップルのネジ位置を揃えます。
「最初はどこまでニップルを締めれば良いのか?」と言いますと、私の場合は"ネジ山(切ってあるネジ)が見えなくなるところまで"と決めています。全てのニップル(20箇所)をこの面位置になるまで、レンチでニップルを締めていきます。

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ネジ締め開始位置のマーキング

全てのニップルのネジ位置を面にしたところで、ようやく調整開始となります。 

 

まずは全てのスポークを同じ回転数だけ締めていきます。
例えば"スポークレンチで1回転"という風に、回転数で管理するのです(この時点ではテンションメーターは一切使いません)。何処からニップルを締め始めたのか分からなくならないように、マスキングテープ等で調整を開始する位置をマークしておくことを推奨します。 

 

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ニップルの色を一箇所だけ変える

また、通常のホイールのニップルは単色ですので、このように一箇所だけニップルを別の色にしておくという手も使えます(最近のマイブーム)。
それをすると、後々のテンション管理やトレーサビリティーもしやすくなるし、ワンポイントデザインとしても良いじゃないですか。私としてはおススメです。

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全てのニップルを同じ回転数で締めていく

地道にニップルを締めていきます。
焦って一気に締めると、後々苦労するか、張り直しとなるので、面倒でも少しずつ作業を進めていきます。


ニップルがリム内に入り込んでいる時は、スポークを少したわんだ状態にして、ニップルを出します。スポークを写真程度にくらいたわませたところで、そんな簡単に折れませんのでご安心を。

 

ホイールの縦振れ・横振れ取り 

いくらか締め込んだ後、振れの確認をします。振れを取る順番は下記の通りです。

(1)縦振れチェック

(2)縦振れを完全に除去

(3)横振れチェック

(4)横振れを完全に除去

この"縦振れ対応→横振れ対応"の順番が一般的のようですし、最初に縦振れを取っておいた方が横振れを取りやすいです。

おそらく、ニップルを回した時の変化量が"横方向>>縦方向"なんだと思います(←作業をしてて感覚的にそう思うだけ)。

 

縦の振れ調整

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縦振れ有無のチェック中

振れ取り台のキャリパー部をリムの下側に位置させて、ホイールを回します。
リムとキャリパー部が当たるところが縦に振れている部分で、その場所にあるニップルを締めていきます(スポークを張ります)。

大きな縦振れを取り払い、徐々にキャリパー部をリムに近づけていき、小さな振れも取っていきます。この作業をひたすら繰り返し、リムとキャリパー部が当たらなくならまで(縦振れが殆ど無くなるまで)、ひたすら追い込んでいくのです。

 

横の振れ取り

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横振れのチェック中

縦振れがなくなったところで、次は横振れ対応へ。
振れ取り台のキャリパー部をリムの横側(例えばブレーキ面)に位置させ、ホイールを回転させます。その時にキャリパー部とリムが当たる部分が横に振れていることなので、当たった面と逆側のスポークを張っていきます(ニップルを締めていきます)。

 

縦振れと同じく、大きな横振れを取り払い、徐々にキャリパー部をリムに近づけていき、小さな振れも取っていくのです。物凄く根気がいる作業です。

 

調整するときの注意点は"点"で考えず、"面"で考えること。
横振れはピンポイントで発生しているわけではなく、その前後ですでに発生しているため、横振れがある部分は数本のスポークを同時に張っていくのです(縦振れも同じです)。

 

ホイールの左右バランスの調整(センター出し)

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センターゲージでホイールの左右バランスを確認

ホイール全体の左右バランスを確認。
縦振れおよび横振れが取れたところで、センターゲージを使って左右バランスを確認します。

 

センターゲージをホイール片面に置き、センターゲージをピタッとなる状態で(ネジ止めして)保持させておきます。

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片面に寄っていてセンター出しができていない。

これは左右バランスが取れていない様子。
保持したセンターゲージをもう片面に置くと、(往々にして)ピタッとならずにセンターゲージとリムに隙間ができます。つまり、さっき保持した側のスポークの方がテンションが強い(ホイール全体がスポークで引っ張られている)ということです。

 

振れ取り台のキャリパー部がしっかりとセンターに位置取ってくれれば、このセンター出しも容易に出来るんでしょうが、先述の通りにこの振れ取り台の精度に難点があるため、センターを出せるほどの精度はありません。今の所は、センターゲージで対応するしかありません。

 

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片面側のスポークだけを張って、ホイールの左右バランスを取る(センター出し)

この矢印側にあるスポークだけを張っていき、左右のバランスを整えます。
ニップルを同じ回転数だけ回し、1周したら再びセンターゲージで左右バランスを確認。これを何回か繰り返すことで、ホイールのセンターを出すことができます。

これも根気のいる作業です。
ホイールの手組みはその全てで根気が必要となります。

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ギュッと押し込み中

センターゲージで左右のバランスが取れていそうだったら、一度リムの両端を手で"ギュー"っと押し込みます(写真の右側は足ですが、実際は手です)。


ニップルやスポーク、ハブやリムの機材間に出来たの余計な隙間や伸び切れていない部分をこの作業で取り除くのです。
"リムが壊れるんじゃないか?"と思われますが、そんな簡単には壊れません。壊れたら、そのリムはさっさと捨てましょう(この程度で壊れたら、ライド中に壊れます)。

 

なお、この作業は両面で行います。
片面の押し込みが終わったら裏返しにして、もう片面も押し込むのです。

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テンションを張って、再び振れの確認

センター出しが終わったところで、再び縦振れと横振れ状況の確認。 
この段階で縦振れはあまりない(はず)で、あったとしても微調整で済むことでしょう。横振れについてはそれなりにあるかもしれません。それらの振れを完全に取っていきます。

 

"完全に"と書きましたが、どこかのところで妥協も必要です。
個人的には「0.5mm以内ならまぁ良いか。」と思います。基準は各々変わるので、調整時間と効果の良い塩梅を見つけて下さい。数をこなせば、振れ取りも上手くなりますし、偏差もなくなるはずです。

 

スポークテンションの調整

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全然張れていないスポークテンション

ホイールのセンターを出し、縦振れと横振れを取り払ったところで、テンションメーターで、スポークテンション値の確認。結果は"16"でした。



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換算表でスポークテンション値の絶対値を確認

テンションメーターに付属されている換算表にて絶対値の確認。
採用したスポークのサイズは"2.2 x 0.9 (mm)"なので、その列が絶対値となります。

結果は"Out of Range"。
全くテンションが張れていないことを意味しています。従って、全体のニップルをもっと回して、テンションを上げていく必要があります。

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再び全てのスポークのニップルを同じ回転量だけ回していく。

スポークテンション値が分かり、目標値も決まっているため、そこに向かって、ニップルを回していきます。
一つのニップルを一気に回すのではなく、全てのニップルを適当な回転数だけ締めていき(例えば、1/4回転や半回転など)、徐々にスポークテンションを張っていきます。 

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目標とするテンション値へ上げていく

テンションが上がってくれば、ニップルも回しにくくなってきます。
スポークレンチでニップルを舐めないように、細心の注意を払って(ゆっくりと)ニップルを締めていきます。

 

ニップルを締めつつ、ホイールが一周したらテンションメーターで測定。
(設定した目標値に届いていなかったら)再びニップルを回して、テンションメーターで測定。これを繰り返して、テンション値を上げていきます。

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スポークテンション値の確認

おおよその目標値になったことを確認。
なお、全てのスポークが同じ値にすることは困難です(そんな精度の良いリムは存在しないと思う)。各スポークのテンション値は(多少なり)偏差が発生します。どこで妥協するかは各々によりますが、私だったら"スポークをニギニギして違和感がなければ良し"としており、定量的ではなく定性的に決めています。(とはいえ、定量としても無くはないです)

 

余談ですが、リムブレーキ用のリアハブやディスクブレーキ用のフロント/リアハブは、ハブ自体が左右対称ではなく非対称構造なので、左右のスポークテンションに顕著な差が生じます。その差を極力抑え込むことが出来るリムは"非対称リム"です。

今後、ロードバイクはディスクブレーキ仕様が一般的になりそうですが、そうなると、前後ともに非対称リムを使うことになります。(今回はリムのアレコレには言及しません)

 

なお、非対称リムの振れ取りやテンション調整は(対称リムに比べて)少し難しく、慣れが必要です。 

 

(余談)スポークテンションの適正値について

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スポークテンションは走行性能に関わり、(タイヤの空気圧と同じくらい)極めて重要なファクターですが、(多くの人が分からない、もしくは気にしたことがない故に)蔑ろにされています。

 

例えばWH-R9100(DURA-ACE、完組ホイール)の推奨値は上記の通りです。
数値にある程度のレンジをもたせてあることが分かります。この主たる理由は"乗る人の特徴(体重など)"や"用途"、バイクによって変わるからです。メーカーは(何故か)スポークテンション値を隠したがります。

 

以前はCampagnoloもスポークテンション値を公開しておりましたが、現行ホイールは公開しておりません。ENVEやZIPPも現在は非公開のようです(ホイールメーカーのスポーク関連の資料を見ても、何故かテンションに関する記載がありません)。

シマノも昔は取扱説明書に記載しておりましたが、最近はサービスマニュアルにしか記載しておりません。(取説に記載しなくなった所に)何か意図を感じますが、(今のところ)エンドユーザーでも閲覧することができるので良心的です。

一番良い方法は、完組ホイールを買った時、それを使う前にスポークテンション値を測って記録しておくことです。そして、それを定点観測してみると、とても面白いことが分かるはずです。

 

正直な話、私も(手組ホイールの)適正スポークテンション値というのを把握しておりません。
スポーク数やリムハイト(リムの剛性)によって変わりますし、いくつかの条件を持って適正値というのは決まってくるからです。データベースとして持っていないし、そもそも私は条件すらも全て把握できていない(”感覚値は何となく持っています”程度)。

 

私の中で数値を決める上でいくつかのルールを設けて決めており、今回もそれに従いました。

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スポークを握って確認

最後にスポーク自体をニギニギして、その張り具合を確認して、(機材破損等の)問題がなさそうであれば、テンション調整はこれで終了です。

 

そして、ホイールの重量バランスの調整へ。

 

ホイール(withタイヤ)の重量バランスの調整

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最後はホイールの重量バランス調整

ホイール全体の重量バランスを調整します。
これはホイール単体で行うのではなく、タイヤを嵌めた状態で行う作業となりますので、組み上がったホイールにタイヤを装着します(チューブラータイヤの嵌め方は省略)。

 

このタイヤはVittoriaの"コルサスピード G2.0"です。
"転がり抵抗が低い"という売り文句で高価なチューブラータイヤです。(構造上)パンクもしやすいですし、耐久性もありません。なお、バルブの高さは足りなかったので、工房に転がっていたエクステンションバルブを付けておきました。

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硬貨で重量を検証

重量バランスを取ります。
(クイックリリースを付けた)ホイールを振れ取り台に取り付けて手を離し、ホイールが静止した状態で硬貨を最上部に載せて、少しホイールの回して位置を変えても動かなくなるまで硬貨を置いていきます。

 

重量バランス調整の際は、1円玉をたくさん用意しておくことをオススメします。あれは"1g/枚"で計算しやすいからです。 

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重量バランスが取れた状態

いくらかの硬貨を置いて、バランスが取れた状態になりました。
「なんだか変な重量バランスだな」と思いましたが、このホイールは綺麗なカーボン繊維を重ね合わせたのではなく、カーボン繊維を切り刻んでチップ状にし、それを"ぎゅ"っと積層して樹脂で硬めているため、ホイール全体のバランスがマチマチになるのかもしれません。

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ウエイトバランスプレート

このウエイトバランスプレートを貼ります。
私は重量や場所によって、いくつかのプレートを使い分けております。なお、このシートたちは"ゴルフのドライバーに貼る"のようですが、ホイールの重量バランスに利用する際にも好都合です。

 

ウエイトバランスプレートはいくつか在庫しておくと良いです。
シールなので、雨の日に走ったりすると粘着力は低下しますし、タイヤを変えると重量バランスは変わりますので、その度に貼り直しとなるからです。

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ウエイトバランスプレートをリムに貼り付け

硬貨の重量と同じ重さ分だけ、プレートを貼り付けます。
プレートの色は灰色と"なんだか目立つ"ため、油性マジックを塗っておきました。見栄えの問題ですので、気にならない方はそのままでも良いです。

 

手組ホイール完成

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完成

ロードバイクに付けた様子。
工房に眠っていた"壊れたロードバイク"のフロントフォークに取り付けて、ホイールをクルクルと回してみました。 これだけでは良し悪しがサッパリ分からなかっため、早速TTバイクに取り付けて試走してみることにしました。

 

 試走

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TTバイクにて試走

TTバイクに取り付けて、40kmくらい走行してみました。
品質の良し悪しは(走行距離が短すぎて)正直分かりませんが、壊れてバラバラになることはありませんでしたので、とりあえず"合格"としておきます。

 

今回手組みしたホイールはリムブレーキ用ですし、そのブレーキ仕様で私が所有するバイクは"TTバイク"もしくは"クロスバイク"のみ。
(剛性の観点から)流石にクロスバイクには使えない(気がする)ため、このホイールで距離を稼ぐことができそうにありません。そうなると、細かい不具合の炙り出しや適正なスポークテンション値の導出などには、暫く時間がかかるかもしれません。

 

ホイール自体の感想は、「自分の狙った通り以上の仕事をしてくれるし、余計なロスもなく、真っ直ぐ走ってくれそう」でした。同時に「これは他の人には扱えないな。」とも感じました。
まるで、"ホイール周辺に強力な磁界(磁場)が発生している"ようでした。強烈なジャイロが働き、走行中はハンドルが殆ど曲げられないのです。従って、このホイールを使いこなすためには、なかなかのライディングスキルが必要です。
私はその昔、(そこそこ重くて速い)モーターバイクでスキルを身に付けたため、その対象が(モーターレスな)自転車になったとしても、さほど難しくは感じないようです。

 

今回手組みしたホイールはレース機材として考えたら、とても素晴らしい仕事をしてくれることでしょう。しかし、ロングライド機材として考えたら、全く仕事をしてくれそうにありません。ほら、やっぱりホイールは用途によってその仕様が変わってくるじゃないですか。

 

欲しい仕様のホイールは自分で作ってしまおう

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with 大桟橋 飛鳥Ⅱ

今回の目的は"チューブラー対応のフロントホイールを手に入れること"でした。
目的は達成し、走行時の具合も良かったんですが、組み上がったホイールを見ていて、「("完組ホイールでも売っていそう"という意味で)少々凡庸で面白みがなかったな。」というのが正直な感想です。
但し、今回の手組ホイールの仕様に近い完組ホイールを買おうとすると、(今回かかったコストの)約3倍はしますし、また、レース機材として仕上がったホイールはなかなか手に入らないため、費用面や機材面として考えたら、それは大成功ということです。


"自転車のホイール"というのは、その人の用途(ロングライド、レース等)はもちろんのこと、体重、ポジション、バイクの種類などによって変わるもので、カタログ上に書かれた横文字と重量、そして「あの有名な選手も使っていて、良いホイールですよ!」という画一的な宣伝文句を元にして購入を決めてしまうのは、少しリスクの高い買い物です。

 

完組ホイールを見ていて、その物足りなさから"自分でホイールを手組みする"という方向に舵を切り、そっちの世界に入りました。
手組みの知識と経験を重ねていくことで、「自分にとってホイールのあるべき姿は○○かもしれない。」といった仮説が頭をもたげ、ホイールのパーツを選定し、実際に組み立てて、一つずつ検証していく過程は、完組ホイールのカタログを眺めるよりもずっと楽しいことです。

 

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
オットー・フォン・ビスマルクの名言ですが、私はどちらかというと”経験から学んできた”人間であるので、彼の言葉を借りるなら私は"愚者"ということです。
とはいえ、前例がなかったり、活字として残っていなければ、時として"愚者"にならざるおえないし、そんな時は進んで"愚者"になることを選ぶべきです。一番の恐怖は"賢者にも愚者にもなれないこと"なのです。

 

出典元が不明な話や、どこかのウェブサイトを切り貼りした内容が(オンラインだけでなくオフラインでも)散見される昨今、その本質までをコピペしきれていないが故に、内容の薄さや間違った解釈が独り歩きすることもしばしばで、それは少々残念なことです。
人生の時間は思ったよりも短いことを、今の社会環境で良く分かったはずです。皆様の持つ有益な知識や情報を経験に昇華させて、そこで得た無形財産を適切な言葉で発信しませんか。

私からの提案をもって、
"手組みホイール基礎(ラジアル編)"はお開きです。
現在構想中の次期ホイールの実現は(リム仕様が少々イレギュラーなため)だいぶ先になりそうです(「よくも快く受注してくれたな、台数も少ないのに。」と感心してしまいました)。それが形になった頃にでも、再び手組みホイールの記事を作ろうと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。